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越後大川でしか行われない伝統鮭漁【コド漁】を見学してきました

2019年12月17日
お出掛け
8
自然 伝統 Dawn太4歳9ヶ月

新潟の県北・村上市の鮭漁は秋の風物詩。毎年秋になると三面川みおもてがわをはじめ、大川や勝木川には多くの鮭が遡上してきます。

村上市内を流れる三面川では、秋になると川幅いっぱいにウライと呼ばれる柵が設けられ、ウライより下流では居繰網漁いぐりあみりょうと呼ばれる漁法がみられます。江戸時代から続くというその鮭漁を見学するため、地元民のみならず、大型バスに乗り付けた観光客でも賑わいます。

昨年、この居繰網漁を見学して記事にした際、さらに県北の山北さんぽく地区にも古来からの珍しい鮭漁があると知り、今年は山北地区に何度か通い、もう一つの鮭漁を見学して参りました。

全国的にも他に類を見ない、大川独特な漁法「コド漁」

山北地区・大川のコド漁

新潟県の最北端に位置する村上市の山北地区。地区の大半は山並みに囲まれ、その合間を縫うように流れる中小の河川流域に集落が形成されています。

山北地区を流れる大川では、毎年晩秋の頃からたくさんの鮭が産卵場所を求め、群れをなして遡上してきます。川原は鮭を待ち望んだ漁師さんたちで賑わい、大川の至るところで「コド」と呼ばれる仕掛けが見られるようになります。

コドとコド漁

大川の鮭漁は、すでに江戸時代から続いているといわれ、全国に類をみない伝統漁法「コド漁」が行われています。

「コド」とは、川の流れを考慮して川底に杭を打ち、その杭に柳や竹など使って覆いを施した、鮭の隠れやすい場所を人工的につくった箱型の装置(コドⅠ型)のことをいいます。休息のためコドの中に入って来た鮭を、コドの天面に取り付けた小窓から覗きながら、差し込んだ鉤に鮭をひっかけて捕獲する漁法のことを「コド漁」といいます。

その昔はお隣山形県の赤川でも確認されているらしい「コド」の存在。しかし今でも「コド漁」が行われているのはここ大川だけで、全国的にも大変珍しい漁法であるといえます。

大川に見られるコドⅡ型

現在の大川では、伝統的なコド漁(コドⅠ型)を簡略化したコドⅡ型と呼ばれる漁獲が多く行われています。
コドⅡ型はウワジョウだけを作り、イチバングイに竹シダを流しただけという簡易な装置です。コドⅠ型に比べて鮭をとり逃がすことが多いので、「腹が立つ」という意味の「モッカリ」の名でも呼ばれているそうです。

もっかりの横で漁をする漁師の姿

コドⅡ型の脇で鮭を待つ漁師

オトリ漁の様子

大川の河口付近は大人の膝上程度の水嵩で、透明度も高くて川の中を泳ぐ鮭が良く見えました。

大川の中を泳ぐ鮭

▲写真中央に写っているのは、頭の黒い鮭。…というか、遡上や産卵行動などによって体の肉が剥き出しになってしまった痛々しい鮭が、上流に向かって懸命に泳ぐ姿です。

頭の黒い鮭を追って泳ぐ鮭

頭の黒い鮭にしきりに何匹かの別の鮭が近づき、力尽きて下流に流されては、また頭の黒い鮭目掛けて上流に向かって泳いでくるを繰り返していました。

中州近くで息絶えた鮭

大川の中州近くでは、息絶えてしまった鮭の姿も…。

大型の足場

大川では鮭の産卵床を「ホリ」や「ホリッパ」と呼び、遡上した鮭が多く集まるので良い漁場とされています。ホリでは大掛かりな足場ができ、上記のような鮭の習性を活かしたオトリを用いる漁が行われています。

鮭を待つ漁師の姿

背後の樹木は「カザミ」といい、川面に人影が映り込まないよう遮蔽しゃへいするために設けた装置の一部です。先にご紹介のコドⅡ型のある川岸にも、このカザミは見られます。

仕掛けにかかった鮭

漁師さんの脇に見える竹竿には、4~5m長さのタネイトの先にオトリの鮭(タネ*イオ)がついて泳いでいます。オスが多く遡上する漁の開始期にはメスをタネイオとし、逆に、メスが多く遡上する漁の最盛期にはオスがタネイオとなっているそうです。

※新潟の方言では「ウオ」の発音が「イオ」になり「タネイオ」は「タネウオ」のことをいいます。

漁師が手に持つ長い鈎

手に持っている長い竿の先にはかぎ(離頭式)が付いて、これでタネイオに寄ってきた鮭を引っ掻けて取るという、実に原始的な漁法です。

魚を狙うカモメが騒ぐ

鮭をとり逃がすと、カモメたちが激しくが騒ぎ立てます。

上流側で釣り上げられていた鮭

下流側ばかりに注目していたら、上流側で鮭が釣れていました。

羽越本線の列車が通ります

時々、鉄子。

漁場のすぐ近くを羽越本線がはしり、時々大きな音を立てて通り過ぎて行くような環境なのです。生活道路もあるので車も走っていますし、地元の方々が漁の様子を見に来ている場面にも遭遇します。

コド漁を見学しているおじいさんを見学するDawn太

Dawn太も一緒に鮭漁を見学していましたが、Dawn太が気になるのは川を泳ぐ鮭ではなく、漁を見学している地元のおじいさんだったようです(笑)

鮭がかかった瞬間

…と、思った瞬間!

釣り上げられた大川の鮭

見学していた真下で鮭が捕れました。

水揚げされた大川の鮭

産卵行動のため、体にかなりの痛手を追った鮭でした。

橋の上から魚箱の中で跳ねる鮭を見つめるDawn太

水揚げされた鮭が魚箱の中で飛び跳ねるので、それが気になって仕方のないDawn太。

魚箱の中で跳ねる鮭を食い入るように見ているDawn太

動くものが気になるのはボーダーの性。

川底石を掘る漁師

こちらの漁師さんは川底石を掘り、コドⅡ型よりもさらに簡易な、石のみのウワジョウのようなものを築いている様子でした。石積みの周辺にもオトリ漁の竹竿が無数に見えます。

大川のオトリ漁の様子

岸からのオトリ漁も、なかなか成功率が高かくて見応えがありました。

オトリ漁をする漁師

おしまいに

川の中に入って漁をする漁師の姿

全国各地で伝統漁法が次々と姿を消していく昨今、大川のコド漁やオトリ漁は鮭の習性をよく理解・利用した、先人の知恵を受け継ぐ貴重なものであると思いました。

三面川よりも河川としては規模の小さな大川ですが、鮭が泳ぐ様子が間近に見えるので、鮭漁が成功してもそうでなくても、たとえ釣り好きでなくても、見学しているだけで楽しい漁場でした。

昨年見学した三面川の居繰網漁では不漁に終わったので、今回の大川では数匹の鮭があがる様子が直に見られ、また一つ、後世に伝えたい県内に残る貴重なものを目にできた有意義な時間となりました。

大川沿いに立つDawn太

大川のコド漁が見られるのは、毎年10月1日から年末頃まで。
期間中は自由に見学できるよ!

--- Saturday, November 23, 2019 / Sunday, December 1 / Dawn太 生後1,742日 ---

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そふぃあ
Posted by そふぃあ
最後までお読みいただきありがとうございます。
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コメント(8)

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さえき奎  

2019/12/17 (Tue) 13:36

コド漁ですか、はじめて知りました。
この素朴さは、河川環境を出来るだけ保全するための知恵と工夫
だったんじゃないのかと思いました。
それにしても鮭はどうして母なる川に帰って来れるんでしょうね。
一説には川の匂いを覚えているからだと聞きましたが、それにしても
不思議なことです。
故郷北海道では、産卵を終えて精根尽き果て、後は死を待つばかりの
鮭を「ホッチャレ」と呼んでいました。脂も抜けて食べても美味く
ないから「放っておけ」という意味らしいですが、その姿は憐れを
誘いますね。
そふぃあさんは名レポーターでもありますね。貴重で面白い記事を
ありがとうございました。

mizu  

2019/12/17 (Tue) 17:44

こんばんは

さすが村上市は鮭の街ですね。
村上の塩引き鮭を食べたいなぁ~。
応援Pです。

NOB  

2019/12/17 (Tue) 21:35

こんばんは。

鮭が遡上してくるっていいね!
九州では見れないですよ!

独特の鮭漁なのですね!

そふぃあ  

2019/12/18 (Wed) 08:13
そふぃあ

To さえき奎さん

こんにちは。いつもありがとうございます。

実際に見に行ってみると、厳密な意味での昔のようなコド漁はすでに無く、オトリに使うための鮭を捕獲するのにコドⅡ型が設置してあるようにも感じました。
ここだけの姿、残してほしいと思いました。

鮭の母川回帰…不思議な生命の神秘だと思います。
9割は生まれた川に戻って来るらしいですので、是非、どなたか解明してほしいと思います。


「ホッチャレ」=放っておけ!ですね⁉
開拓民が新潟からもたくさん行っているので、北海道には似た言葉や新潟弁もたくさん残っています。
よく言われる「なまら」は新潟弁なんです。

そふぃあ  

2019/12/18 (Wed) 08:31
そふぃあ

To mizuさん

こんにちは。いつもありがとうございます。

秋の村上は鮭で活気溢れます。
市内でも鮭イクラ祭りなど開催されるので鮭グルメ目掛けて観光客も多くなります。
新潟の正月には鮭は欠かせない魚です。
そちらはブリ派?それとも鮭派?
是非、村上の塩引き鮭をお正月に!

ポチ!感謝です。

そふぃあ  

2019/12/18 (Wed) 08:34
そふぃあ

To NOBさん

こんにちは。いつもありがとうございます。

九州では鮭の遡上がみられないんですね。
こういう光景、大切にしないといけないのだと、改めて感じます。

漁のスタイルも独特で、川を汚さない配慮もあって、一匹ずつ釣り上げるようです。
古典的でしたが、鮭が釣り上げられる醍醐味を感じました。

柴犬マイア  

2019/12/19 (Thu) 07:21

こういう古来の漁法はこちらでは見られませんね。
強いて言うなら嵐山の鵜飼かな?でもあれは観光の見世物ですからね。
こういう古来の漁法はこれからも残ってほしいです。
そろそろそふぃあさんの地域では雪が積もる時期ですかね。

そふぃあ  

2019/12/19 (Thu) 07:56
そふぃあ

To 柴犬マイアさん

こんにちは。いつもありがとうございます。


県内の人でも、こういう漁法があることを知らない人の方が多いと思います。
珍しいものを見学することができました。

> 嵐山の鵜飼
これは有名ですよね。
たとえ見世物になったとしても、それで後継者もできているわけだし、それはそれで良いのだと思います。

我が家の方は、年明けから本格的な雪になります。
今年は暖冬といわれていて、最近もそんなに寒くはないんですよ。