attention admin about comments trackbacks you may also like

【寺泊民俗資料館】昭和の長岡市寺泊の暮らしを知る資料館を見学しました

2020年01月18日
お出掛け
16
歴史探訪 学ぶ 博物館

内容濃く、あまりに楽しくて二時間も入り浸っていた長岡市トキと自然の学習館。
ブログ記事も濃くなってしまい(笑)今回が最終章の全三部作となっております。もう少しお付き合いください。

長岡市トキと自然の学習館外観

平成17年(2005年)に廃校になった寺泊町立夏戸小学校の旧校舎をリノベーションした「長岡市トキと自然の学習館」。長岡市でのトキの分散飼育が始まったことを契機に、トキの生態や、地域の自然環境を学ぶ環境学習の場として、その一階はトキを学べる「学習館」となっています。また、学習館二階は「寺泊民俗資料館」となっており、トキが暮らす長岡市寺泊地域の昔の暮らしぶりを知ることがでもできます。

この度は、施設二階にある「寺泊民俗資料館」のお話です。

トキが舞っていた頃の長岡市寺泊の暮らしを知る「寺泊民俗資料館」

旧夏戸小学校内にある寺泊民俗資料館廊下からの様子

以前の寺泊民俗資料館は、寺泊港近くの、日本海を見下ろす高台にありました。平成24年(2012年)3月に長岡市トキと自然の学習館が開館し、さらに平成30年(2018年)8月に学習館隣にトキ観察棟が造営されたのを機に、寺泊民俗資料館もこの夏戸の地に移転し、リニューアルオープンしています。

こちらも一階同様、夏戸小学校の旧校舎の面影を残しつつの展示。野生のトキが佐渡の空を舞っていた頃の昭和初期から昭和30年代までの寺泊・沿岸部の暮らしが、復元セットを交えて紹介されています。持ち帰れる手書き資料なども豊富に用意されていました。

1.寺泊の「農業」

農家の作業小屋の復元セットを中心に、農具など40点あまりの展示。また、季節ごとの行事で食べられた餅米料理のサンプル展示がされています。

留守を守る味噌蔵

味噌蔵の再現展示

小屋の奥には今年の役目を終えた農具がきっちりと片づけられ、取り出しやすい手前には、いくつもの桶が置かれています。

田んぼ仕事を終えた農閑期、男たちは毎年、遠い土地に長期間の出稼ぎに出ます。留守を預かる女たちは、味噌蔵の樽を守りながら、ジッと寒い冬を耐え、春の訪れを待ちます。

味噌と漬物があれば、ひとまず安心!という時代。日常の料理の味付けは自家製味噌が基本で、まだ醤油は貴重な時代。代用品として、味噌の澄まし汁を使ったそうです。味噌作りに使う高価な道具は共同で購入し、何軒かで順番に使いました。田植えに稲刈り、餅つき、豆腐作りなど、ご近所との共同作業の場面も多い時代でした。

暮らしのなかの「餅」

日常的に食べられていた寺泊の餅料理

お正月だけでなく、日常的にも食べられていた餅料理の数々が展示されていました。

お祝いにつきものの「お赤飯」も見られますが、長岡といったら「おこわ」。しかも、金時豆入り、醤油で味付けした「醤油おこわ」が一般的で、事あるごとに食されていたようです。

これまで私も知らなかったのが「まごめのもち」。調べてみると、まごめのもちは漢字にすると「真米の餅」、つまりもち米ではなく、ご飯を炊く普通米で作られた寺泊野積地区伝統の餅であるとわかりました。

野積地区は古くから、全国に優秀な杜氏を多く輩出しているというお土地柄。酒造りの過程で蒸して余った酒米を、上手く活用して保存食としたのが「まごめのもち」で、杜氏たちが帰郷する際に手土産として「まごめのもち」を持ち帰ったことで、野積地区の郷土食となったものだそうです。

2.寺泊の「暮らし」

寺泊の暮らしの様子の再現展示

囲炉裏の復元セットを中心に、生活用具100点余りが展示されています。日々の食事や行事のご馳走など、食品サンプルの展示もありました。

家族のいた囲炉裏

囲炉裏の再現展示

囲炉裏は生活の中心であり、囲炉裏は火の神様。一年中、その火を消してはいけないとされているところもありました。

盆正月、祝い事、祭り、田植え後の早苗饗さなぶり、小昼など、日々の美味しい楽しみもここにありました。かた餅、けんさ焼、先ほど話題になったまごめのもちも、囲炉裏で炙って食べたのでしょう。煮炊きもできて濡れた服も乾かせ、ほのかな灯りもとれた囲炉裏端は、今では憧れすら感じる家族団欒の場でした。

季節によって囲炉裏の展示風景も変わるようで、この日の囲炉裏には冬らしく、塩イワシ(のちに説明あり)に大根おろし、刻み葱を酒粕で煮た寺泊のソウルフード「しょっから鍋」が展示されていました。

台所

台所の再現展示

湯気の匂いに、まな板の音、家族の苦労も幸せもあった台所。おかずが美味しくできた時、たくさん作ってしまった時、料理が台所から台所へと。ご近所とのお裾分けも当たり前、醤油などうっかり切らしてしまった時も、お隣に借りに行くのもお互い様の時代でした。

蔵の中

蔵の中の展示

普段使わないものや季節のものを片づけた蔵。温度や湿度が一定なので、書類や漆器の保存場としても活用されました。

蔵は特別な空間とされ、大晦日にはお供え餅を飾り、年明けには蔵開きが行われました。家庭によっては、嫁の立ち入りが禁止されているところもありました。

年取り膳と正月料理

年取り膳の展示

お年夜は、家族が早めに夕食の膳につきました。女たちは何日も前から準備を始め、台所は終日にぎわい、ありったけのご馳走が並びました。

真っ白なご飯や豆腐も晴れの日のご馳走だった時代。近年、新潟のお年取りの魚といえば鮭やブリが一般的ですが、この時代は生魚が貴重だったため、長期保存も可能な塩引き鮭がお年取りの魚だったようです。

【えご】海藻を固めた加工食品。九州地方で食べられている「おきゅうと」より、もっと海藻分が濃いのが特徴。
【のっぺ】新潟の冠婚葬祭には欠かせない郷土料理。鮭・イクラ入りで根菜たっぷり!干し貝柱と干しシイタケで出汁を取った煮物。

正月料理サンプル展示

私も初めて聞いた「こうとう」は雑煮のこと。スタイルは同じですが、呼び方が違うのも地域性を感じます。

こうとう、昆布巻き、鮭の頭の軟骨で作る氷頭なますと、正月料理の数々にも鮭がたくさん使われています。少し火の入ったイクラは「トトマメ」と呼ばれ、氷頭なますや雑煮に入るのも新潟では一般的です。

現在は高価なイメージの「数の子」ですが、この時代はニシンも大漁だったのか安価だったそうで、たくさん漬けてあったそうです。

日常のまんま(ご飯)

日常ご飯のサンプル展示
ゾーセ(雑炊)にはコーコ(たくあん)が一番!

日常の食事は旬のものを食べ、豊富にあれば常備保存していました。この頃の寺泊はイワシの大群が押し寄せ、どこの家庭にも塩漬けのイワシが大きな樽に蓄えられていました。なかでも三年ものは塩も枯れ、美味しい食べ頃として好まれていたようです。

先の囲炉裏の「しょっから鍋」にも使われていた塩イワシは、焼き物にしてもピリピリするくらいに塩辛くて舐めるように食べ、塩イワシの焼き物一匹で三カタケ(三食)ご飯が食べられたそうです。塩イワシの汁に生大根を漬けたものが「生臭漬」ですが、名前に反して生臭くはなく、これもご飯のお供にピッタリだったそうです。

けんさ焼は越後・上杉軍が戦の時に持参したと伝わる戦飯。煮菜は葉っぱの漬物を酒粕で煮た常備菜。ご飯は芋や小豆、菜っ葉などで嵩増しして食べ、その究極の食べ方が雑炊です。

3.寺泊の「漁業」

舟小屋の復元展示を中心に、漁具や製塩用具など、230点あまりが展示されています。

想いのこる舟小屋

舟小屋の再現展示

寺泊最後の延縄漁師であった上荒町の「漁勝丸」の舟小屋をモデルに、約三分の二の大きさで再現されています。

引き戸の奥は母屋、その反対側の出入り口は浜。舟は小屋の前に置かれていました。呼び方は舟小屋ですが、実際には漁をするための道具置き場であり、漁網を直したりするのに使う作業小屋でした。

手漕ぎの舟

手漕ぎの舟

タラは延縄で釣りました。狭い舟には漁具がギッシリ。積まれた縄カゴ、入れ子の桶。機能的な収納も漁師の知恵です。

漁師飯

手漕ぎの時代、漁師はさまざまな漁具と一緒に「ちげ」と呼ばれる大きな弁当箱を持参して漁に出ました。「ちげ」には七合ほどのご飯と漬物、煮物のみ。さすが体力仕事!ご飯たくさん食べるなぁ…と思ったら、これで二食分だそうです。

寺泊の海岸線は約16km。大陸棚の先は水深200m以上と、一気に深くなります。漁師には磯見漁師、沖漁師、川漁師と区分がありました。

手漕ぎの舟は戦後になると、焼玉エンジンの動力船へと替わってゆきます。

塩たき

塩たきの展示

寺泊の「塩たき」は揚浜式製塩。生業として郷本、山田、大和田で行われていました。カンカンに晴れて暑い真夏の時期、日の高い中での作業は重労働。きっと塩作りの職人さんの、汗や涙も塩になっていたのかも。

おしまいに

昔の消防ポンプ
昔の消防ポンプ全景
夏戸小学校時代の水飲み場が残る施設内

全て見学し終えて廊下に出ると、昔の消防ポンプも展示されていました。

夏戸小学校の雰囲気が至る所に感じられるのも、学校で勉強しているような気持ちにもなれ、実物展示と豊富な資料の数々で、昔の寺泊の暮らしぶりが良くわかる資料館でした。

今は家に居ながらにして、パソコンやスマホの画面からポチッと押せば何でも手に入る時代ですが、冷蔵庫もテレビもコンビニも無い時代、先人たちが自分たちの手で、日々を丁寧に生きてきた姿にも感動します。

同施設の「トキみ~て」のみ一人100円の格安観覧料が必要でしたが、学習館は一階、二階ともに無料で勉強できる場となっています。二階の「資料館」にいたっては、季節により料理展示などチェンジするようですし、懐かしい時代の様子も楽しいので、またお邪魔してみたくなります。

次回はもう少し入場料をとって欲しいと思わずにいられない、太っ腹な施設見学記でした。

休憩室にあったトキがモチーフの置物

長岡市トキと自然の学習館二階「寺泊民俗資料館」(2018年8月18日移転リニューアルオープン)
新潟県長岡市寺泊夏戸2829 ※地図

【トキみ~て(長岡市寺泊)】間近に見るトキに癒されてきました

江戸時代の頃にその名が付いたという日本の伝統色「朱鷺色(ときいろ)」。トキの翼の風切羽や尾羽のオレンジがかったやさしい桃色が美しくて付いた名ですが、江戸時代の頃には朱鷺が全国のいたると...

【長岡市トキと自然の学習館】トキの生態や自然環境について学びました

長岡市トキと自然の科学館は、実際にトキを見ることができる観覧棟「トキみ~て」と、トキについて学べる「学習館」に分かれています。...

--- Sunday, January 12, 2020 ---

関連する記事
そふぃあ
Posted by そふぃあ
最後までお読みいただきありがとうございます。
※撮影した写真の著作権は放棄しておりません
画像のお持ち帰りは固くお断りしております※

コメント(16)

There are no comments yet.

NOB  

2020/01/18 (Sat) 09:54

こんにちは。

民俗資料館は私も好きな場所です。
当時の生活を現代に伝えるいい場所ですもんね!
タニタ食堂の様な食生活も当時の方が健康的ですね!(;^_^A
油物少し減らそうかな・・・(笑)

柴犬マイア  

2020/01/18 (Sat) 11:39

こんにちわ

廃校になった校舎が有効活用されているんですね。
なかなか興味深く見せていただきました。
でもこの場所も過疎化しているんでしょうかね?
校舎の有効活用はいいのですが、その分子供がいなくなっているのは寂しいですね。

さえき奎  

2020/01/18 (Sat) 16:31

こういう博物館とか郷土資料館とか大好き人間です(もちろん水族館なども)。
外出先で見つけると時間の許す限り入ってみます。
さすが米どころ。餅や食事などの展示が半端ないですね。
やはり「年取り膳」は北海道の家庭に今も残る「年夜飯」のルーツなんでしょうね。
個人的には大変素晴らしい習慣だと思っています。

-  

2020/01/18 (Sat) 21:13

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

よつば  

2020/01/19 (Sun) 08:58

すごーい!

行ってみたーい!こういう場所大好きです♡
イイナァ~トキも見たいしこういう展示も見たいし~
スッゴク良心的な場所ですね!無料で見学できるなんてね
丁寧な説明文とステキな写真見てるだけでも雰囲気伝わります
ホントそふぃあさんのblogって読み応えありますね~♡

そふぃあ  

2020/01/19 (Sun) 09:26
そふぃあ

To NOBさん

こんにちは。
いつもありがとうございます。

民俗資料館や豪農の館、私も好きで、ちょくちょく見学に行きます。
お天気の悪いインドアの日は、こんな風に昔に触れるのも楽しいものです。
保存食も多いので、どうしても昔の食生活は塩分多めな気がします。
ですが、現代人以上に体を使って生活していたので、これでも平気だったのでしょうね。
私もスローフード、見直そうと思います。

そふぃあ  

2020/01/19 (Sun) 09:29
そふぃあ

To 柴犬マイアさん

こんにちは。
いつもありがとうございます。

地域の子どもの減少で、廃校になるって寂しい時代です。
小学校も再利用されて、きっと喜んでいると思います。
卒業生や、この学校を離れて行った人なども、また見学に来てくれると良いです。

そふぃあ  

2020/01/19 (Sun) 09:32
そふぃあ

To さえき奎さん

こんにちは。
いつもありがとうございます。

博物館、資料館、美術館、水族館…どこも楽しいですよね。
こちらは冬場、外に出て遊べる日も少なくなるので、そんな機会にアチコチ見学するのが好きです。

昔の人は米が主体で、それを美味しく食べる副菜が揃っていた気がします。
お年夜の料理、北海道ではどんなものが並ぶのでしょう。
やっぱり年取り魚は鮭なのかな?

そふぃあ  

2020/01/19 (Sun) 09:33
そふぃあ

To 鍵コメさん鍵

こんにちは。

ご親切、感謝いたします。
いつもありがとうございます。

そふぃあ  

2020/01/19 (Sun) 09:37
そふぃあ

To よつばさん

こんにちは。
いつもありがとうございます。

寺泊はお魚の買い出しにも出かける場所なのに、海の方にあった時代は全く知らない場所でした。
トキのお陰で、海での生活文化まで知れて良かったです。
資料館と学習館とトキ見学、全部合わせて、もっと入館料取ってしかるべきだと思います。
そう思える素晴らしいところでした。

ススム  

2020/01/19 (Sun) 11:42

美味しそうですね

こんにちは。
スマホからだと、読む前にページ全体をスクロールするので、地元の食材を提供しているお店のレポートだと思いました (笑)

どれも美味しそうで、特に私のような年代にとっては、ありがたいメニューですね。

—-
最後の方の画像の並びに、とてもいいですね。

縦長の1枚を右に配置して、すごく自然な見映えになっていますよ。

そふぃあ  

2020/01/20 (Mon) 07:36
そふぃあ

To ススムさん

こんにちは。
いつもありがとうございます。

展示サンプルを見ながら、私も「美味しそう!」と思って眺めていました。
質素ですが、どれも自分の家で作られたスローフードばかりですね。

タイル式で画像を並べた時、縦長の写真も横長に表示されるのでどうにかならないかなと思っていました。
希望通りに配置できる方法を教えていただき、感謝、感謝です。



しんべい  

2020/01/20 (Mon) 11:58

こんにちは

楽しそうな資料館ですね。昭和初期からといいますと親たちの若い時代ですね。地方によっていろいろと風習も違うのでしょうが、懐かしい思いで見させて頂きました。
7合で2食分ですか?我が家は1合で3人1食分あります^^昔の人は動き方も違うのでしょうね。

そふぃあ  

2020/01/21 (Tue) 07:44
そふぃあ

To しんべいさん

こんにちは。
いつもありがとうございます。

そうですね。親たち世代はこんな暮らしをしていたのでしょう。
同じ県内に暮らしても、町場と漁村、農村のくらしはかなり違っていたのでしょうね。

漁師は力仕事なのに、おかずが僅かな煮物と漬物だけで、油っけもないし、これで一食米三合相当ではお腹も減ったと思います。
お米もきっと玄米だったのではないか?と想像しながらみていました。

kyonzy  

2020/01/22 (Wed) 01:55

寺泊民族資料館、大変興味深く読ませて頂きました。
こんな場所があるんですねー。とても行ってみたいです!

そふぃあ  

2020/01/22 (Wed) 07:57
そふぃあ

To kyonzyさん

こんにちは。
いつもありがとうございます。

トキの施設と一緒にしたことで、民俗資料館の存在も広まってくれると思います。
私もこれまで、寺泊に民俗資料館があることを知りませんでしたから。

沿岸部の暮らしぶり、良く再現されていて興味深かったです。